デザインと非デザイン / Diary926
20.11.2020

このコートから受けた衝撃がトリガーとなり、ファッションデザイナーとはなんぞやデザインとはなんぞやという無碍問答を薄ぼんやりと頭の片隅で考えるようになってしまいました。

 

時代に応じてファッションデザイナーの在り方も存在価値も変化しておりますので、オートクチュールが終わった直後やミラノコレクションが始動した頃と、テクノロジーとガジェットが変化し続けている近年は大切なことも必要なものも変化し同じ論点で語ることも比べることも叶いませんし比べること自体が野暮ですが、少なくも私はモード史において “ どこかまで ” の人々は “ デザイナーという枠組み ” がフィットし、“ どこかから ” の人々は “ コンセプターという枠組み ” がフィットするのではないかと。スタイルや企画やアイディアそのものを提案する役割と、造詣や構築におけるデザインの創造する役割。同じファッションデザイナーという枠組みでもこの二種が存在するようになったことと存じます。( そもそも近年はアーティスティック・ディレクターやクリエイティヴ・ディレクターという肩書が多いですしね )

 

私は着こなしの自由度と表現のふり幅が広く、丁寧なクリエイションが散りばめられたヴィンテージやアンティークの存在を一個人的に贔屓してしまいますので、やはりクリエイティヴィティが豊かな存在を目の当たりにすると、それが結果的に招く人としての世界観を含めて心震えてとても興奮するのですが、逆にそういった意味合いにおいてのクリエイティヴィティを意図的か結果的か注がないに至ったうえで完成されている存在を目の当たりにすると、それもやはり興奮します。

 

デザインと非デザイン。探求と追及。在るもの踏まえたうえで変化させる行為も在るものを研ぎ澄ませる行為も共に尊く美しい限りで前者も後者も難解の極みなのですが、その中でも特に完成度の高い品を眼の前にするといつの日からか反射的に笑ってしまうようになりました。喜びと特に興奮と驚きが軸になっているのでしょうが、なんとなし雪山で遭難した時に無意識で眠ってしまうような反射と近いような、なんとなしそんな感覚です。

 

 

 

 

 


んもっちりとしたラムレザーの暖かい輝きとゴールドパーツの冷たい輝き。バイカースタイルでもありミリタリースタイル的でもある創造的なデザイン性。それをコートにしてしまうという暴挙。そう、氏の追及する美しさや色気のエナジーボリュームは、当時も今も社会的には暴挙と捉えられるほどの強さなのです。その中でもランウェイのファーストルックを飾った一着ですので、本当に馬鹿野郎ですよ。ニヤリ。

 

 


こちらに関しましてはもう呆けるしかないです。御紹介すべき要素性は各所に散りばめられているのですが、基本的にデザインの概念はなく古典にしっかりと則っています。しかしながらこの言葉を必要としない美しさ・求心力・存在感は、女史がデザイナーを務める同ブランドの同区分に相応しく、それこそ赤子ですら笑ってしまうようなエナジーです。デザインという要素は皆無ですが、これはこれで本当に馬鹿野郎。これを所有する人が増えれば増えるほど世界から争いごとが無くなるでしょう。

 

 

 

 

 


2000AW Gucci by Tom Ford lamb leather coat / 1999s Hermes homme chesterfield coat

 

デザイン / 非デザイン

 

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