春分の日 / Diary845
20.3.2020

人には教えたくないお店 をふと思い立って考えてみるとまず頭に挙がったのはある街のある一カ所だけでして、その後のんびりと考えてみても他に想いつかないので、もしかしたら現在の私にとってはそのお店しかないのかもしれません。“ 人には教えたくない ” … 情緒と小粋さを感じるなんとも甘美な響きと感情なものの、お店からしますと複雑な心境なのかもしれませんが、特段私が人に教えたくないと想ったとて滞りなく諸々は成立していることと想いますし、そもそも私はふと気になって足を踏み入れた立場であり、通って仲良くなるような社交性もございませんのでそのお店に関してはなにも知らず、他意も作為もなく単純に 人には教えたくないお気に入りのお店 なのです。

 

 

 

そこで先日、知らない写真家 ( 私は写真文化に明るくありませんので知りませんでしたが、後日調べましたところ大変に有名な御方のようでした ) の一冊に何故か引き寄せられ購入したのですが、私はかねてよりそのような “ 何故か引き寄せられる ” “ 何故か好き ” という感覚を不思議に想いつつとても大切にしておりまして、今回のそれによって好みな写真家が増えて嬉しく想いましたし、購入前はパラパラと眺めただけで気付かなかったのですが冒頭に “ はじめに ” から始まる奥さんの一文 ( その本は文章が奥さん、写真が旦那さんの構成 ) が載っていまして、要約すると知人の紹介で以前加入した夫の生命保険が契約満了で払い戻しになった時、“ 命の価値がこれっぽっちの金か ” と想って二人で虚しくなり、なんかもやもやしたのでそのお金を使い切るべく自費でこの作品集を出したというような内容でして、少々シリアスな背景ながら文体がなんとも軽快で、“ 札束を眼の前にして正座する成熟した男女がなんだか半笑いで微妙な顔をしている ” という図が即座に頭に浮かんでしまったためなんだかとても愉快な気持ちになり、幸せを感じました。
それは一般的な雑誌のサイズで、一般的な雑誌よりもかなり少ないページ数でして、前述の通り奥さんの文章 ( プロの写真家を夫とする感想等 ) と旦那さんの写真が交互に登場するのですが、まだ全てに眼を通しておりません。1984 年に限定的に発行されたという一般的な雑誌と同じくらいのサイズで少ないページ数のその本は、時を経て一人の男が何故か魅了し、じっくりとページを噛み締めたいと想えるその男にとって貴重な存在と成りました。次は 庭に椅子を出して桜を眺めながらページを眺めようかしら なんて想っております。

 

このようにとても良い諸々と成る “ 何故か好き ” も在りますが、たいていのそれは謎のまま何故?のまま日々は過ぎ去ってゆきます。しかしながら経験も知識も理性も関わることなく好きと想える存在, 引き寄せられる存在というのは本当に稀有であるとかねてから想ってきましたし, 引き続き想いますし、今回の一冊のように何かのタイミングやいつかのタイミングにとても良い諸々などに成る可能性があることと想いますので、引き続き大切にしていきたいです。
“ 何故か好き ” 。皆様にもございませんか?

 

 

 

 

 



私にとってその一つが、スチューデントライクなエディターライクなカントリーサイドライクな肩掛けの鞄です。総合的な有用性ではハンドルバッグがベストであり、瞬間的な機能性ではバックパックがベストであると想っていながらも何故か惹かれる それが “ 肩掛けの鞄 ” でした。ちなみに私は “ 肩掛けの鞄 ” という言葉から連想する装いならびに世界観は決して気取っておらず、実生活に則し現実に向き合った人間像と成りますので、その根幹に上質な目線と品質意識がひっそりと静かに確かに潜んでいる肩掛け鞄は特に特に素敵に想います。

 

 

 

 

 

New arrival. 1986s Hermes.

 

 

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