暴力的な才能 / Diary749
8.8.2019

まず 2015 年頃に女性向けの区分にて新たな時流が産まれ, 固定され、その後それらが男性向けの区分にも派生したことで装身具の世界が一層の盛世を迎えていますが、その根底にあるのは 60 年代頃に産声を上げた “ Art jewelry ” という世界観であると、新たな時流のそれらとその派生を眼にしていると私は強く感じておりまして、その土台を構築したのが北欧芸術におけるデンマークの幾カ所の工房でして、彼ら / 彼女らは土地の特徴である広大な自然界, 木々の騒めきや大木の流線や流れる水や降り注ぐ太陽など、の有機物から着想を得ることで独創的でありながら自然体であり圧倒的な美しさを有する形状概念を生み出し、さらに驚くほどの創意性による肌への馴染ませ方によって装身具の世界において一つの独立した立ち位置を獲得し、後に Art jewelry という世界観と成って今に至っているのですが、そのうちの一人でありながら、どのように捉えてもどのように切り取ってもどれだけどれだけ思考を凝らしても、どうしようもないほど別ものな異形の才能に五年ほど前に出逢ったのもまた、私にとってデコラティヴな装身具という世界に入門することと成った要因です。

 

 




物事の判断や解釈において、例えばそれが装う品であった時 誰が / どこが手掛けたか, その人 / その会社がどういう略歴か などといった社会的な側面を踏まえることは当然であり、社会に属す我々にとってその要素が重要な材料となり基準となりますが、私はこの生業において人々が “ どこの誰か ” も “ どんな会社か ” も解らぬままその物質に秘められた暴力的な才能によって惹きられていくという、おそらくこの世の中において最も尊く美しいであろう瞬間を幾度か目の当たりにしておりまして、氏の作品もまたそのような存在です。

“ デンマーク ” を拠点とした “ ジュエリーアーティスト ” でありながら “ デンマーク・ジュエリー ” の区分ではなく、そもそも “ ジュエリー ” としてではなく “ 芸術品 ” の立場で世界に認められて現在に至るそれら作品群は、Art jewelry ではなく純粋な Art と捉えるべき, 捉えられてしかるべきでありながら、私はどうしてもショーケース越しに眺める存在としてではなく触れて肌に載せる装身具として御提案したい気持ちを止めることができません。言葉でも背景でもなく素材や要素でもなく惹きつける暴力的な才能はきっと、我々の遺伝子の奥底に秘められた原始的な何かと呼応致します。

 

 

 

 

 




Coming soon.
60s Jacob Hull jewelry’s

 

 

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