early80s Valentino Uomo wool bal collar design coat

イタリーモードの祖であり後輩たちに指針を示すかのように王道の美しさ,ことメンズクリエイションにおいてもクラッシックカルチャーを特に大々的に取り上げていたヴァレンティノ・ガラヴァーニにおいてヨーロッパの買い付けの旅においては奇跡の出逢いと言っても過言ではない44サイズ表記にも関わらず、しっかりと造形的な挑戦的なオーヴァーサイズの構築はValentino Uomoの初期だからこそ特出して珍しく新鮮な印象ではありますが、各所に注がれる相も変わらず圧倒的な美意識と感性とモードの哲学はやはり“Valentino Garavani”の濃密で尊いクリエイションなのです。

お散歩をテーマとして産まれた丸いコートにおいて胸ポケットは珍しく張りポケットもさりげなく個性的ですしテーラードジャケットのような袖のボタンもやはり新鮮な印象。王道であるにも関わらずさりげなく複合的で、それら全てが融合して獲得できるファッションとして個性はやはり才人によるそれ。さらには肩線が捻れて左右ともに前面に走るようになっているため、普通に正対しても袖のボタンが正面を向くように設計されている＝ボタンをデザインとしてのアイキャッチとして活用している点なんて、秀逸過ぎて気付いた瞬間に鳥肌が立ちました。

表地はさりげなく明るいファッション的印象をもたらすシックなタータンチェックなのに対して裏地はアヴァンギャルドなペイズリー総柄でしかもブランドロゴをデザインしたオリジナル仕様、サイドポケットの内側にまでそれを配置する拘りようには感動してしまいますが、あくまでこれがヴァレンティノにとっての“普通”。これぞ真の良い服ですが、これが彼にとっての普通。

これを現実的のコートとして現代に自然体に楽しむという贅沢を是非貴方の“普通”にしてくださいな。