これまでミウッチャさんの初期クリエイションであるヴィンテージPRADA Uomo、そしてアーカイヴ的位置付けのPRADA Uomoを御案内・御提案する過程で度々“現代のクリエイションとの密接なリンク”を口にしたり文字にしたりしてきました。それは最初期1995-1997sピリオドに製作されたコートを雛形にした2018年のコートがあったり2022年のコラボクリエイションがあったり、極めて近しいと言うか全く同じくと言っても差し支えがないほど酷似した一着が店頭に並んでいて唯一の違いが三角ロゴプレートの有無であったりと私が感じる限りでも様々ございまして、時代に応じたスタイルバランスやスタイル提案の変遷があって然るべきな状況で30年弱前に製作した現代と強くリンクするというのはヴィンテージカルチャーと向き合ってきた我々にとってこれはある種異常とも言えるので、何よりそれがミウッチャさんの才覚の尊さを現していることでありPRADA Uomoという成熟した世界観の最たる理由を現しておることであると強く実感しながら向き合ってきた次第です。

これもまた“まさしく”であり“ズバリ”な一着。フィッティング的には48の身体にチェスターフィールドコートらしく的確にフィットする設計バランスにも関わらずSサイズ表記というコンセプティヴな構築は言うまでもなく抜群に現代のオーヴァーサイズ概念とリンク。しかしながらその実現代の直線的なそれらとは異なる美しい曲線美で構築されていることを忘れてはいけません。そのムードとスタイル性ゆえ三角ロゴプレートが付けば...なんてふと頭に浮かびますが、“付いていない”ヴィンテージクリエイションだから良いことは言うまでもありません。

全体に及ぶ美しい落ち感、モードなジャージーナイロンのテクスチャー(色がまた絶妙なんです。何色と断定しにくい不思議な色調)、胸ポケットを排除した原始的チェスターフィールドコート設計の採用と各所にミウッチャ・プラダという稀代のデザイナーらしさが満ち溢れた一着。大変に美しいパターンメイクですからオーヴァーサイズ感をどれくらいもたせるかの自由度は高いです。?46サイズの御身体でしたら無理なく御提案が叶うことと存じます。