弊店は何故だか馴染みの浅いダッフルコートですが、これもやはり良い意味で大定番的スタイルの一つ。調和がとれた丸いフォルムやコートながら活動的なレングスバランスや完成度の高い機能装飾など、複雑に組み合わさっているものの均整は抜群。やはり実物を眼の前にすると素直に良いなと思います。

しかしながら何故御提案の機会が極端に少ないんだろう？と改めて考えてみましたが、ダッフルコートとして王道であればあるほど本格的であればあるほどメルトンウールの表面がざらついた硬いテクスチャーになるのが原因だったように思います。もちろん元々は漁師の仕事着でその後に英国海軍に採用されるなど、寒風や水を防がなくてはいけませんので防御力と撥水力のためにざらついた硬い羊毛が必須だったことと思いますが、弊店はそれがネックになってしまいました。重さしかり硬さしかり質感しかり、ヴィンテージを日常の一部として味わって頂くことを軸にするとどうしても選ぶ機会が遠のいてしまったのです。

本点は申し分ありませんでした。ウールに化繊を織り交ぜることで軽く優しく暖かく、ダッフルコートとしての王道的本格的な存在価値を維持して、かつ大看板に相応しい自然体な高級感をプラス。流石アクアスキュータムなクリエイションに思います。
ちなみに当スタイルには珍しくトグルの内側にジッパーが配置されています。それによって全面からの風をより防ぎ、固定力が高まることでのスタイルアップも実現。こういうところですね、大看板の大看板たるゆえん。