1992s Hermes
胴の部分にブーツを、前面にヘルメットを、そして右脇に配置されたホールにムチを収納するため“だけ”に製作された馬術家のための鞄。

いやはや、本当に衝撃です。これまでにも様々な良い意味で現代とは異なるムードやデザインの素敵なヴィンテージ個体や、時に個人発注の独特な美意識を御提案してきまして、それらは全て印象深い素敵な品ばかりでしたが、ここまで目的意識がはっきりとした, かつ目的意識が特徴的で, ゆえに異常なほど特殊な設計に辿り着いた Hermes バッグにお目にかかれませんでした。なんですか、この形状。Hermes に限らずヴィンテージバッグに限らず我々は見たことがありませんよ。乗馬を嗜まれている方やそれこそ馬術家の方でしたら見慣れた形状なのでしょうか。

まぁそもそもにおいて厳密に言えばファッションピースではないので、斬新に感じて当然ですよね。屈強なキャンバスと屈強なレザーは御馴染みなのですが如何せん全体形状が異質過ぎて頭が混乱します。しかしながら各収納箇所の使用感はあくまで自然でして、例えばブーツポケットは本体が傷つかないようにクッション性が高いライニングが配置されていたり底面に補強材が入っていたりと現実的に考えて有用性が高い丁寧な設計です。ちなみにブーツポケット箇所には、左右別々に納められるように仕切りがついているのですが、動かすことができるのでその仕切りをある程度ないものとして収納して頂けます。(外すことはできませんので、完全に仕切りが無い状態にはなりません)
色々と試してみたらかなりの収納力を体感致しました。ブーツポケット、ヘルメットポケット共に、完全なる目的意識でありながらその目的外での活用も叶いますので、しっかりと収納しきれば一泊二日くらいでしたら全然納められると思いますし、この要領を日常的に丁度良く活用される方も多いのではないでしょうか。

ヴィンテージ Hermes の中でも特に珍しい存在で、はっきりと申しあげましてコレクターズピースではありますが、弊店は是非に実際にお楽しみ頂きたく思います。時間の経過に伴うレザーの小さな亀裂やハンドル部分の風合い変化がありますが、本体は未使用と推測される弊店にとっては奇跡のコンディションです。

超特徴的目的性の変態的なハンドルバッグ。変態的ですが Hermes の本質要素だからこその究極的に練り上げられた最上級の変態性です。
いやぁ、本当にたまりません。あっぱれ！