1920 年代にフランスの鉄道員が着用していた本品はいわゆるフレンチワークウェアの区分に収まりますが、その中でも年代が古い点、そして限定的な職種に向けての設計ゆえの、これまたワークウェアらしからぬ顔立ちに僅かでも御興味頂けることがございましたら是非にと思う個の強さを有する一着です。

弊店も初めて出逢った時は存在感をどの印象の引き出しにしまうべきか戸惑いました。しっかりとしたアンティーク年代ですので各所の機能装飾の装飾感や素材感はそれに則した顔立ちですし、どう考えてもテーラーメイドですのでクラシックな然とした佇まいであることは間違いないのですが、同時にどう考えても普通ではないデザイン性も有しているがゆえの装いの着地点における異質感。

結果的にはレイルロード特有のコンパクトな着丈であり、鉄道員の中でも運転する側ゆえの視差を目的としたデザイン性でしたので、結局のところ異質でありながらも決して仰々しくはなく、いざ袖を通すと結局のところ成立するスタイル性 ( とはいえ本品はその中でもコク深いです ) の豊かさは、相も変わらず純真無垢な構築によって成り立つワークの文化ならでは。ここにもモードのリソースたる要素性の真髄が在ります。

やはり働くための衣類ゆえテーラーメイド 100％ でありながら極めてしなやかで軽やか。ジレに袖を取り付けたかのような, ないしテーラードジャケットの着丈を大胆に変異させたスタイル性は、まるでカーディガンのように様々な用途にて気軽に御愉しみ頂けることと存じます。
フィッティングは 44 サイズの御身体もしくはスリムな 46 サイズの御身体向き。本品に関しましてはある程度則って頂いた方が宜しいことと存じます。