“ イタリアンモードの帝王 ”のクリエイティヴィティは縦にも横にも上にも下にも分布致しますが、こと 1981 年に始動した Armani jeans は特出した遊び心を有しているのではないかと。ジーンズの名を冠しているとて単純なカジュアルに非ずで、よりメタファリカルな言葉のチョイスなように捉えておりまして、モードとハイクオリティを主軸としていながらも特に自由な創造性を大切にしているラインと言えます。

こちらもワークのテンションとテーラーの技術力とバランスで仕上げ、コートの有用性を融合させた自由な一着。暖か味に溢れる素朴で素直な素材感は着用を重ねるたびに風合いが増していき、よりシックな求心力を間違いなく獲得してくれることでしょう。ウールにレーヨンを織り交ぜることで質感を損なうことなく強度を高めるバランス感にイタリアのハイクオリティな職人の技術力を感じます。
仕立ての美しさと完成度は御覧の通り、動きやすく有り程好くシャープで完成された構築です。いわゆるテーラードジャケットの姿形なのですが洋服として提案はコートの方が近く、それこそインナーの自由度を高める余白を残しておりフィット感も自然な着地点となっておりますので、着丈がとても短いチェスターフィールドコートと捉えて頂いた方が正解ではないかと存じます。

それこそ英国のカントリーサイド調の優しさと男性性ですが、実際に袖を通すと重々し過ぎない、良い意味で飄々とした楽しげな男性像を御体感頂ける一着です。上質な一着ならではの、どのような装いも受け止めてくれる懐の深さをお楽しみください。