ID : MJA00003518 |
Designer : 31.MENS(vintage)3D撮影済 |
Sold |
size | 肩幅:40cm 身幅:45cm 袖丈:64cm 着丈:68cm |
material | Wool |
color | Black |
condition A | 両袖口裏地にやや変色が見受けられますが、年代を考慮しましても大変に良いコンディションです。全体としましても綺麗な印象です。 |
チェスターフィールドコートの様式が在って、日常的や活動時の利便性や快適性を論点に精査され続けることで辿り着いた現代のポピュラーな“ テーラードジャケット ”の形状。本品はその形状が概ね構築されきるほんの少し前の時代 ( それははっきりとした特定が叶いませんので弊店の感覚含む認識として御了承ください ) 、1930 年頃にフランスで製作されたビスポークの一着ですので、現代に通じる要素と通じない要素が同居し、かつ製作された地であるフランスのテーラー的美意識も垣間見えるという、なんともなんとも滋味豊かなジャケットです。 フィット感を高めると同時に活動領域を多めに獲得する姿勢は特に袖付けに現れているでしょうか。御身体とマリアージュさえすればきっと吸いつくようでありながらも御想像を越える動きやすさ、腕を上げ易さなど御体感頂けることと存じます。着丈も腰回りから概ね臀部を覆うボリューム感なのですが、それこそチェスターフィールドコートを分断したかのごとしヘムラインでして、ノーベントによる重量を落とした迫力からも、良い意味で近年のテーラードジャケットとは異なる一層のアウター感をお楽しみ頂けるのではないでしょうか。 更に当時のフランスの仕立ての世界における美意識がたっぷりと注がれておりまして、まず強いショルダーラインなのですが、現代でもポピュラーであるフラットなショルダーパットに対し肩の角を中心に乗せられた括弧型のショルダーラインが構築させており、近年では滅多に見られない作為的な肩の立体感に仕上がっております。更に脇下のすぐ下に強い曲線を描くことでウエストのシェイプをより強調させ、強弱のコントラストを一層強めるボディシェイプを成立させていまして、これらは共に当時のフレンチテーラーにおける独自の美意識であると同時に同時代のオートクチュール的な感性でもございますものの、いずれにせよ現代感覚では広く御提案するよりも御身体の相性によってピンポイントで御提案が叶う類になりますので、ヴィンテージ / アンティーク特有の ( そして本質であり強く魅力的な ) 気軽に触るな危険的世界観ではありますものの、なんやかんやで前述のフレンチテーラー美意識は本品においてはさりげなく発揮されている範疇に収まっておりますので、良い意味で程好いスパイスとして現代感覚で捌いて頂けることと存じます。もちろん、重複致しますが御身体との相性は必須です。 そして生地の存在感と、存在価値。“ 織る ”という文化は、その機械に関わる分野は時代ごとに進化し、それこそ機械的な技術力も高まっています。例えば 1900 年代初頭には一時間かけてかけて織っていた生地が現代では一分で織れて、かつ1900 年代初頭の仕上がりよりも織り目が正確で均一。といったもの。 ですので、機械的な進化に伴う技術力の進化を“ 良い ”とすると、1900 年代初頭の技術力は“ 悪い ”となるのですが、丁寧に織る・創るという点は変わりませんので、弊店は単純にその“ 良い / 悪い ”では判断しておりません。 そして現代の進化を遂げた機械の技術力をもってしても叶わないのが、百年前に行われていた正確ではなく均一ではなく時間もかけざるを得なかった織りの表情でして、加工すれば“ アンティーク風 ”になり、機械開発をすれば膨大な予算が必要というある種の皮肉のような、ロストテクノロジーのような関係性に成ってしまったのです。 その関係性は織りに限らずほとんどで成立しておりますので、その点もあって現代のデザイナーやメゾンが常に過去の作品群を御手本にし続けるという図式が成立するのですが、ことウール系統におきましては、このようなプレーンなテーラード様式に関しましては、“ あのジャケット、なんか格好良くない? ”という第六感的な求心力 ( もちろん中には一目でアンティークの織りであることに気付く人もいるのでしょうが ) に繋がるのだと思います。 御身体に合いましたら、是非に。長文失礼致しました。