新しいや古いという区分けでも、時代でも製作背景でも国でも区分することの出来ない、図鑑であったり博物館や美術館の展示でしか出逢えない、装身具の世界としてではなくデザインの世界として世の中で認知された ( されてしまった ) ために実物に触れることが滅多に叶わない存在が、ジュエリーの歴史にはある程度ございます。
勿論展示されているという時点でフィルターがかからないと言ったら嘘になりますし、往々にしてそれらデザイン類の魅せ方はとっても素敵ですので一層に輝きますものの、それら“ 元々は身に着けるために製作された ”にも関わらずデザインの歴史として“ 展示されている ”装身具の数々は、身に着けられることなく美しく展示するに相応しい圧倒的な存在感と求心力を発する品ばかりで、何度視ても、どれだけ視ても飽きることがありません。
それら展示される世界に属していながらも手に取って頂ける・現代の装身具としての御提案が叶う存在である Jacob Hull ( ヤコブ・ハル ) 氏の作品群は、言うまでもなく弊店にとって大変に大切な存在なのですが、こちらのブレスレットはもう、、、

ヴィンテージの区分と致しましてヤコブ氏は主に 1960s - 70s という時代で、デンマークジュエリーという分野に属されますが、氏の創造する品々は、それらのキーワード・イメージと良い意味で合致しきることがございません。独自過ぎる世界観表現とその構築力はなんと申しますか何段階かに分かれた印象でして、中には爽やかな着地点の作品も幾つかあるのですが、はっきりと申しあげましてこちらはトップクラスに異常で異質。国や時代が違うということを踏まえたとて同じ地球人にこんなデザインや造形が産み出せるとは想えません。本当に、頭の中どうなっているんだよ、、、と。

パーツが組み合わさって連結し、S 字の先端をフッキングする着用法ですので、それこそブレスレットとして王道性の高いチェーン様式ははずなのですが、そのような既成概念であったり、そもそもにおいて“ 格好良いですね ” “ モードですね ”といった装いとしての印象判断すら曖昧にしてしまうほどのエナジーがございます。誤解を恐れずに申しあげますと、御提案や御推奨の枠に属さない物質と申しますか、似合う似合わないではない物質と申しますか。

なお、ヤコブ氏の生涯においてデザインスタジオ“ Buch＆Diechmann ”という存在は欠かせませんで、そこの発信によって同国のハイクラスな百貨店である“ Illums Bolighus ”での取り扱いがあったからこそ現代に至る高い評価を得るに至ったのですが、本品は Buch＆Diechmann とは関わらない、ヤコブ氏個人の工房にて製作された逸品となります。
どのような背景であったとて本品における“ 非 ” 常識性は揺らぐことがありません。ヴィンテージと言えばそうですし、ジュエリーアーティスト Jacob Hull の作品と言えばそうなのですが、それ以上に先立つ、先立つどころかその印象で頭が埋め尽くされる異常で異質な存在感。これをどう捉えるか、どう感じられるかは御人によって異なりますし、強く拒否反応を示されたとて不思議ではありませんが、弊店はヤコブ氏の作品をこのように御提案できることを、このような異質であると同等に圧倒的に美しい一つを御提案できることを誇らしく想います。