1930年代のシルクタキシードは米陸のテーラーで仕立てられた逸品。 この年代のシルクタキシード、特にホワイトというカラーは貴重なもので、時間を吸収する過程からコンディションの条件が揃わないのが常と、先に前置きを書かせて頂きます。 贅沢にも表地、裏地共にシルクを使用。表地に関しましては極細のシルク糸を強く丁寧に編み上げたような屈強な立体感が確認でき、“コシがある”という表現が最も適切かと存じます。しかしながら触れると冷たく、極上なまでの滑らかさはやはりシルク特有のポテンシャル。アイボリー色の柔らかさを損なわない程度に極限まで白へ近づけたような独特の風合い。大変に贅沢な逸品。

本品はタキシード仕立て。本切羽に4つ釦、着丈は短くベンツはなし。釦もマットなホワイトを選定しており、全体の雰囲気を壊しません。カジュアルなテーラーでは御座いませんので、ショルダーパットは定石。とはいえ、所謂80年代のパワーショルダーのような雰囲気では御座いませんので、あくまで美しいアームの振りを獲得するがためのディテール。ご着用頂くと、見た目からはショルダーパットの存在を感じさせないようなフィッティングが適います。また、肩幅の実寸値程、肩が大きく感じられないのもパットディテール故。驚く程に美しいショルダーラインを獲得できます。普段44〜46をフィッティングされる方に丁度宜しいかと。そして生地が大変に素晴らしいので、繊細なシルクのイメージを覆す力強いポテンシャルを活かすべく、あくまでデイリーにタキシードをご着用頂きたい弊店の想いから、淡いブルージーンズとのスタイリングを推奨致します。勿論ミニマムなフィッティングを尊重してワイドスラックスとの相性も。

この機会にアンティークのシルクタキシードを是非ワードローブへ。御眼鏡に叶いましたら。