50年代フランス空軍のメカニックワーカージャケット。

文字通り同部隊における整備士のための一着であるがゆえに純正ミリタリーピースでありながら戦闘服ではなく純正ミリタリーピースであると同時にワークウェアでもあるという弊店が大好きな楽しい矛盾に言う名のスペシャリティに満ち溢れた個体。

メカニックワーカー、なんとも複雑そうで難しそうな職種ですし飛行機の整備だなんて相当に重要な役割だと想うのですが専用のジャケットはなんともミニマムで結果論的なファッション性に満ちていますね。
二つの胸ポケットのみと歴代のミリタリージャケットの中でもトップクラスにミニマム。しかしながら実は左右にペンホルダーが付いていて構築感が高めであったり襟が大きめであったりとどことなくインダストリアルなアイキャッチに溢れていて、高密度なコットンキャンバスのヴィンテージらしい朴訥としたムードとのコントラストが効いています。
ところ変わってカフスは実に精密で複雑な構築。手元に精密さが求められていたんですね、流石エンジニア。

結果的にこちらは“ミニマムかつ洗練された構築のヴィンテージらしさを肌で感じられるシンプルな腰丈のジャケット”という極めて有意義な着用感かつ稀有な個性を獲得するに至りました。余談ですがヴィンテージミリタリーの文化においても規模が少ない職種ゆえ出逢いの確立は低いです。
でもレアリティよりも単純なファッションとしての格好良さが際立ちますね、こちらは。構築バランスがよりファッショナブルに向く60年代以前の御品なのでより無機質で無骨な点もNICEです。