ミリタリーピースか、或いは / Diary384
14.4.2017

 
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国、時代、文化、美学、背景、様式、環境、「Military piece」を様々角度で検証する際、あらゆるエレメントの複合的結晶ではなかろうかと思案に暮れますが、例えば1着のミリタリーピースを横線基準とする際、生産国によって色は変わり、時代によってパターンや素材が改良され、国によっては美意識が盛り込まれ、国勢、当時背景は生産数に波を生じ、セクション及び階級が変われば使用様式も変化し、生産環境はたった1着の服に影響を与えましょう。大袈裟ながら偏に否定しきれないのは数々の名品と詠われたミリタリーピースが実在してこそ。
 
 
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愉しいという表現は不謹慎と頭を過りながらも、ファッションというフィルターを通した際、やはり“愉しい”と感じるのは名品と詠われた数々のミリタリーピースはあくまで現代の認識の上に成り立っているカテゴリーであり、生産当時は紛れもなくリアルクローズとしての存在意義と理解しているからでは。メゾンにおけるデザイングピースとは違い、各所ディテールに必ず意味内容が存在することは自明の事ですが、其れを具体的に究明していく面白さないし判明した際のトキメキと、将又、判明しない段階でさえも現在のファッションフィルターを通した際にどこかモダンだと解釈する愉快さもまた。其の様な解釈にてミリタリーピースを日常に昇華する喜び、あらゆるモーションに耐えながら日々を過ごす中で「なんて、タフネス。」と驚きながら時間と身体の形状を覚えさせていくプロセスにもまた喜びを覚える方も少なくないのでは。醍醐味でしょう。
 
 
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と、ミリタリーというステージをご紹介する際には、前述のようにエントリー致しておりますが、本日ご紹介しますはミリタリーにカテゴライズされながらも、あくまで、いえ、敢えて1着のプロダクトとして検討のベクトルを向けて頂きたいと、強く、想う、次第です。
 
 
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グレージュの絶妙なカラーパターンは日々のモーションによって動きの在る立体感を獲得。とろみがあり、しっとりとした顔立ちに反してライトウールのような起毛のないテクスチャーは、通年着て頂ける抜群のポテンシャル。
 
 
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パターンはフライトピースのショートブルゾンですが、国の美意識から生まれた特性か、身幅、アームと適度に絞られモダンなフィッティング。前見頃、後ろ身頃には左右に施された天地に伸びるアクションプリーツ(厳密には左右に開かないのでアプリーツとしてのディテールのみ)。比翼の前立てとモダンなフィッティングに反しての大胆なディテールは、デザイングされたような佇まい。前見頃はプリーツに隠されたようにスラッシュポケットを完備。
 
 
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early90s French military flight piece design blouson “dead stock”
 
 
冒頭の通り、ミリタリーというステージにおいては“紛れもなくリアルクローズとしての存在意義”ですので、ファッションとしての“デザイン”は存在していない、とは断言できませんが、素直に肯定もできないのが事実でしょう。と、論争に立ち向かえる程のモチベーションを与えてくれるは、この1着の確かな存在こそ。本日のエントリーはミリタリーにカテゴライズされながらも、あくまで、いえ、敢えて1着のプロダクトとして検討のベクトルを向けて頂きたい、と、勝手ながら熱い想いが御座いますので、定石の如く申しておりますように“フラットな目線”を保って頂き、1着のプロダクトとして向き合って頂ければ。様々角度で検証した際、あらゆるエレメントの複合的結晶であるミリタリーピースと確かなる1着なのですが、あらゆるエレメントを円グラフに置き換えますと「美」が突出する程に、モダンゲージは最高レベル。頭では理解していても尚、この1着はミリタリーピースか、或いは。
 
 
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