Work=Mode / Diary124
9.4.2015

様々な年代、国、カルチャーからヴィンテージを抜粋しますと、そのバリエーションは余りにも壮大ゆえ、少しでも解り易くと弊店では大きく5つの区分化させて頂いております。

その内で、間接的にモードと結びつくのは3区分。中でもミリタリーはここ数年の傾向もあってか 『 =モード 』 の等式を認識され、楽しまれている方が圧倒的に増えたように思います。
そんな状況だからこそ知って頂くべきだと強く感じたのです。ミリタリーと双璧を成す 『 ワーク=モード 』 の等式を。

 
ミリタリーが戦うための服であれば、ワークは働くための服。
働くためという事は生きるためという事。ワークウェアはそんな純粋かつ明確な意志に沿って生まれました。様々な就業環境で着用された一種の制服でもある品々は言うまでもなく着飾る事、ファッションを目的としておりません。

配されるディティールは機能性のため、構築されるパターンは快適性のため。朴訥とも言える要素は時代を重ねるたびに当然ながら簡略化され 『 工業性 』 を強めますが、逆に時代を遡る事で発見できるのが驚異的な “ 配慮の気配 ”です。

 
 
なぜ消耗品にも関わらず、手の込んだ細部なのか。
なぜ工業品にも関わらず、エレガントなのか。

 
 
ワークに限らず様々なアンティークやヴィンテージを目にしても感じた 『 なぜ 』 ですが、それはきっとその国が長い歴史で培った文化的無意識の哲学、一種の国民性なのではないかと思います。

だからこそ、消耗品にも手間を惜しまないのが当然で、工業品がエレガントに成るのも当然なのでしょう。それがその時代の “ 普通 ” だったのです。

その “ 普通 ” は現代のメゾンにとってデザイナーにとって、大変重要な教科書となるのです。

 
 
店頭では先日からワークウェア主体の編集を展開させて頂いておりますが、その中からまず1着をご紹介。

 

 

 

 

 
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1930年代、フレンチワークのリネンコート。
フランスという国にとって重要なマテリアルとされるリネンは、
その立ち位置ゆえ出会う機会が滅多にありません。

唯でさえ貴重なリネンコートなのですが、今回はなんと
販売当時の紙タグが付いたデッドストック(未着用品)のセレクトが叶いました。

 

オーバーコート特有の余白使いながら、テーラーにも共通項の多い繊細なパターン。
胸元のダブルポケット、サイドポケットに並ぶスリットなど、
定番性をゆうに越える芳醇なディティール。

 

 

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なぜ、パターンに手の込んだテーラーの美学を注いだのでしょう。
なぜ、各ポケットを手間のかかる仕様にしたのでしょう。
なぜ、フィッティングが今のオーバーサイズに近しいのでしょう。

 

何よりも驚いたのは襟裏の支えステッチ。

 

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過去にご紹介した品々でも同じような仕様がありましたが、それらは全て直線。
本品は全て手縫いによる曲線によって仕上げられています。

なぜここまで一着に時間をかける事が出来たのでしょう。

 

 

これが “ 普通 ” である当時の水準、余りにも眩しすぎる。
そして、刺激的すぎる。

 

 

 

 

 

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30s French work, linen atelier coat, deadstock

 

 

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