大丈夫。全然大丈夫 / Diary806
11.12.2019

ベランダや道路に看板の類が出せない規約によりマンションのエントランス入って正面に在るポストの小さな表示と玄関前の小さな表示が目印となる弊店は、表参道からも青山通りからも数本内側に位置するという立地以上に辿り着きにくいだけでなく、いざ入ると 60 年代の隣に 2003SS の品が並んでいたり、メゾンのドレスシャツの隣に背景不明のアクティヴィティ・ジレが並んでいたりと “ わけのわからない ” 内容であるがゆえ、初めましての御客様方には率直に “ わけのわからない品々ばかりかもしれませんが、御興味頂ける御品ございましたら ” とお声掛けさせて頂くこともしばしばであるばかりか、その時代性や背景性ゆえに置いてある状態, ハンギングの状態と実際に袖を通したり身に着けたりとした際に良きにせよ悪きにせよ印象差異が生じることも多く、本当に本当に、冷静に考えずとも御客様方には御迷惑ばかりをお掛けしていることを折に触れては痛切するのですが、そのような不親切な状況にも関わらずわけのわからない内容にも関わらず、時に御自身への大切な一品として御認め頂けることは我々にとって何よりもの栄養素と成りますが、時に時節に限らず大切な贈り物として御選び頂けることは、“ 続けること ” かつ “ 社会の迷惑に成らないこと ” が信条の一つである弊店にとって数少ない素直に自身を誇れる大変に大変に光栄な機会です。

 

共にお出かけする出逢い方や事前に綿密に調査して秘密裏に捜索する出逢い方や独断にて判断する出逢い方、時にそれ以外の方法で熟考する出逢い方も在ることと想いますが、年齢や性別, 国や社会的立場を問わず贈り物という区分は皆様迷われることと想います。私は贈る相手を想い, 悩み, 決断するという一連の全思考と嗜好を真に美しく想いますので、結局のところ相手方は皆声を揃えて “ 貴方が選んでくれたものであれば ” と言うのでしょうが、いざ選ぶとなると簡単には決めかね、悩んで悩まずには居られない。贈り物に手練手管なんぞございませんので。
私はそんな贈り物という行為と文化が心から好ましく想いますので、そんな思考と嗜好の時間を陰ながら拝見させて頂く時間を何より幸せに想います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

そんな私は年末のあの時 ( そういえば今日から丁度二週間後ですね ) と春 ( 三月産まれなので ) に訪れる “ 贈られる側の機会 ” から縁遠く成ってだいぶ経ちますが、皆様方の御姿を陰ながら拝見させて頂いておりますので全然大丈夫です。
それに先日、覚えている限りおおよそ十五年ぶりとなる区分の服を買いまして、大変に嬉しかったです。もしかしたらここ数年で最も心躍る “ 明日着るんだい ” の夜を過ごしたかもしれず、出逢いの稀有さを, “ 買い物 ” という出来事の大切さを改めて認識致しました。もちろんそれは贈り物、私から私への贈り物です。全然全然大丈夫です。

 

 

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