非画一 / Diary742
23.7.2019

弊店における幾人のデザイナーと同じく、その時代における性質ゆえ我々が ( 勝手に ) 想う理想的な品やそれに伴う世界観の御提案が悔しいほどになかなかどうして叶わない存在であり、出逢えた暁には幾人と同じくどうしようもないほどに惹かれ心の奥底から湧き上がる敬意を抑えることのできない一人のイタリアンモード・デザイナーは、二万冊の古書を商う旧家に産まれ建築を学んだ後に非西洋圏を長らく旅した後に服飾と向き合う という豊か極まりない経緯を経ておりまして、彼はインドや中国、アフリカなど非西洋圏での放浪において自身がそれまでに生きて感じていた世界とは全くもって異なる人々や空気, 常識や視点と触れ合うことで多角性の重要さを学んだことで、例えば一つのコレクションを完成させるにおいて、まずルックそれぞれの全体像を想い浮かべた後に各部に注視して製作を進め、全ルックの全ピースが揃ったうえで改めて最初の全体像をゼロにして改めて各組み合わせを考えるといった自発的な解体・再構築を盛んに行うことで結果的に “ デコラティブとミニマムの組み合わせ ” ができあがるなどの革新的な表現力を発揮するだけでなく、1988 年に設立した初の独立店においても他デザイナーによる品を併せて取り扱うといった当時において異例な決断も下しておりまして、それらは全て多角重要性から学んだ、表現する側もそれを選ぶ側も “ 自由 ” であり、人にはそれぞれ自身の好き嫌いがあり、それに伴って組み合わせたり判断したり時に更なる自由を求めるべきだという考えに基づく判断であり、かねてより備わっていた人とは異なる存在で在りたい, 成りたいという非画一主義に基づく姿勢でした。私はその判断も姿勢も心から尊敬し、共感致しております。

そんな彼の作品群も、また他の親愛なる偉大なる先人達, 奇才者や鬼才者と同じく伝統的な服飾史に則っておりますが、弊店ではその中でも 1990 年代初頭までの傾向である無機質でミニマリズムな世界観に強く強く惹かれております。例えば本品のような純真無垢なそれこそ西洋美意識である仕立ての構築であり, それに “ 食事の前にくつろぐ一室で着用するための一着 ” という古き美しき背景性を注ぎ込み, 更にその土台に現在のテーラードジャケットの原点である “ サックコート ” を採用し構築したうえで, まさに東洋的といえる完成後の染色を施した一着が繊細な調和で拡大解釈させたビッグシルエットである。といったような。

 

 

 

 

 





Newarrival. late80s Romeo Gigli uomo oversized cotton tailored.

多角的であること, 自由であること, そして美しく非画一的であることを追い求めたロメオ・ジリ。前期はコート一着のみでしたが、今期もなんとか叶いまして幸せに想います。

 

 

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