easy tailored の有用性 / Diary653
15.1.2019

 

 

 

途轍も無く, chic tailored / Diary583
 
1881 couture / Diary626

 

 

現代Bespokeから最も遠いフリーダムフィット又はイージーフィットが成功しているテーラードとの御縁に恵まれた今シーズンでしたので、例年に増してプレタポルテの可能性と偉大さを等しく受け取ることができました。着用者を限定させず,緊張させない特質的なアプローチは、背筋を伸ばすためでも人様と儀礼的に向かい合うためでもなければ、当然と謂っていいほどフォーマルからかけ離れた非・正式性なもので、非・公式的なものですので着用機会の精査が必要なチャンネルと重々心得てはおりますが、フリーダムフィット又はイージーフィットが成功しているテーラードの有用性を上述反対解釈させるならば、非・正式性なもので、非・公式的で、非・日常ではない、是・日常のゆっくりとした生活時間を拘束されずに御過ごし頂くならば、是・日常のゆっくりとした生活時間を助長する本件テーラードの能力に、僅かな留保はありますか。ディケンズが論じた「生活は万人の闘い」闘わねばならない生活に巨大な緊張があるとするならば、必要とされる上着ではありませんか。

 

 

 

そのように大袈裟で真剣な評価をさせて頂いている限定区分は謂わずもがな、服飾史として深さがあるわけでも世界史として伝統性が沿うものでもなく、紛れもなくプレタポルテの発展から生み出された近代成功のひとつであろうと思いますが、本当のところ40sブルガリア軍の就寝着が資料だったり、30s英国スモーキングウェアが発露だったり、ストリームの形成サイクルが早い女性モードの何かがきっかけだったりするのかもしれない其々は差し詰め重要ではなく、快適性の追求とモダンである事の重みを等しく捉える難しさや厳しさや危うさがあるイージーフィットの基底も、そもそも白紙のような気がしてなりませんで、偏にデザイナー様の舵の切り方によっては歴史的失敗作に成りかねない,すこぶるセンシティブな特質区分とも重々心得ているつもりであります。90年代Dries Van Noten氏の提案も本当に見事な成功例で御座いますし、Cerrutti同社より送り出された提案はおおよそ素材を主にする強い原動力を感取致しまして、プレタポルテの発展から生み出されたイージーフィットの発露が仮に1980年代から(それ以前は想像できない)だとしましても、男性的なショルダーフォルムの構築が左岸を支配していた中【快適性】と【モダニズム】の両立をプレタポルテから発信していたハウスは指折り数えてもやはり少なく、同年80年代テーラードの再解釈を実現したGianni Versace氏のフィールドバックが絶大な成功を収めた傍ら、イタリメゾンの帝王が審美眼を向けたフォーカスは真逆を往く【快適性】と【モダニズム】の両立を視ますと、それが市民と密着性の強いレーヴェル発信である本作との結びつきも容易で、パニナリによって色付くミラノ中心地、ゆっくりとした生活時間を拘束されずに過ごす市民男性の緊張を溶き解すテーラードと成り得たのでしょうか。

 

 


 

 

 

 

 

 

ウール主要構成に4%混入させたカシミアの意図をわたくしは知り得ませんし、例によってチョコレートブラウン色へは高い個人評価を置かせて頂きたく、あるいは低く設置された3つ釦ながら段返りになるトップ釦とアンダー釦を留めない紳士性を突き通すと結局のところ中央ひとつしか留められない事実に思わず笑ってしまいましたが、おそらく固定概念の脱却も意図したのではなかろうかと考えを巡らせながら収納を重要視するイタリアスポーツウェアの其々に恥じないたっぷりとしたフラップポケットはハンドウォームではない設計意図を左右極端に切り込まれたサイドベンツで納得致しまして、いずれにしましてもイタリメゾンのセカンドレーヴェルは基本的に高品質である実例の多さは扨措き、late80s-early90sの同社カジュアルレーヴェルが大変素晴らしい御作りをしている評価に曇りひとつ御座いません。

 

 

 

 


late80s-early90s Armani Exchange tailored jacket from Italy

 

是・日常のゆっくりとした生活時間を拘束なく緊張なく御過ごし頂けますよう、日々ゴミの分別(弊店所在の港区はとても厳しい)に奮闘している万人のひとりより、静かにお祈りを申し上げます。

 

 

SURR by LAILA 小林

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